フロート下の水中にCO2を貯蔵するアイディアの検討
フロートのセルは20m*30mで考えているので、その敷地に3個の上記面積10m*10mと同等の円筒容器を設置し高さも10mにすると貯蔵できるCO2の重さは1個の容器あたり約2トン、10気圧にすると約20トンのCO2を貯蔵できます。したがって1セルあたり3個で貯蔵できるCO2は60トン。(貯蔵場所の水中は水温が30℃程度で安定しているので温度変化による膨張には簡単に対応できる。)
水上基地20km*300kmはセル数1000*10000なのでその75%のセルの水面下で10気圧に加圧したCO2を貯蔵すると750万セル×60トン=4億5千万トンを貯蔵できます。
※実際の設置を考える際には立方体ではなく円筒形の貯蔵容器を用意します。貯蔵容器は柔軟性、断水性、長期の品質保存性をもつ巨大な合成繊維や合成ゴムなどによるバッグを考えます。バッグは内部の空気圧と外部の水圧が均衡するのでさほどの耐圧性を必要としません。(薄くて柔軟なものを作れる。)製造上問題があるのであれば、深さはそのまま10mにして円面積を小さくしたものを複数用意します。
貯蔵したCO2はサバティエ反応室に必要量を供給できる配管設備をもちます。
CO2の地下貯蔵法との比較
赤道反流上の基地の水面下未使用スペースを利用して、産業用設備(主に化石燃料による発電所)で回収したCO2を貯蔵するアイディアは従来検討されているCO2の地下貯蔵(CCS)に比べて有利な点がいくつか存在する。
1.貯留そのものが簡単である。
どちらの方法を採用するにしても、発電所では燃焼したガスの中からCO2を回収しNOxを除去して、保存場所まで運ばなければならないが、それには少なからぬ費用がかかりCO2無排出の火力発電所が事業として成立しえない理由になっている。
この弱点は石炭の採掘場所付近に建設された旧来型発電所などに顕著である。
https://toyokeizai.net/articles/-/215829
2.赤道反流上の貯留施設へのCO2搬入コストはCCSに比べて安くつくケースが多いと思われる。発電所や製鉄所などでは大量の原料の入手コストを安くするために沿海地帯に作られていることが多い。
つまり、CO2を液化し、あるいはドライアイス化してタンカーに積み込む施設を作りやすい立地条件下にある。
3.冷却されてタンカーに充填されるCO2の赤道反流までの輸送費は、LNGタンカーやアンモニアタンカーの片道を利用できることもあり、陸上輸送して坑道から高圧で地下深くに貯留するよりも大幅に安くて済むと思われる。タンカーの動力源を重油から再生CH4やNH3にできれば尚更である。これらのタンカーでは運搬用の液化CH4やNH3を低温に保つための設備を共有できることから、一般の貨物船をガス燃料で航行するよりも効率がよくなる。
4.赤道反流基地の広大な敷地に架設されたソーラーパネルの下には同じく広大な未利用スペースがある。
そこをCO2の大量貯留に利用することは「空き地利用」であってコスト的にも安く、技術的にも何ら問題ない。
5.多数の円筒容器に分けて貯蔵することになるので万一空気漏れなどがあっても被害は少ない。
6.貯蔵したCO2は単に貯蔵するだけでなく、カーボンニュートラルのCH4を作る際の原料として再利用が出来る。
7.CO2の大量貯蔵はあくまでも化石燃料が自然再生エネルギーに置き換わるまでの「つなぎ技術」である。
フロート下の水中への設置であれば、今後数十年で終わるであろう化石燃料由来のCO2のために大きな設備投資をする必要がないし、将来的にCO2が排出されなくなっても、大気中のCO2を取り込むことでCH4生産に支障の出ることはないからCH4の長期生産は計画的に行える。
8.赤道反流上には生産されるH2の輸送費を軽減するために、H2に付加価値がつくCH4を生産するのと並んでNH3の生産も導入されるが、NH3とCO2とは物理的性質が似ているので、NH3タンカーの片道を利用してCO2を効率的に輸送できる。
9.将来的には反流上で生産されるH2と輸送されたCO2、作業員の排泄物などを利用してバイオマスによるCH4の生産も視野に入れるなど、反流の環境や広大な画一的な面積を生かしたCO2の再利用が考えられる。
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